200年住宅(長期優良住宅)は、地球環境の課題へのひとつの答えであり、200年を超える古民家が残っていることから証明された実現可能な目標です。古民家に活かされている知恵を学ぶことで、200年住宅のポイントが見えてきます。
どうして"200年"なのか
どうして200年住宅が必要なのでしょうか?それは、地球環境の問題から生まれています。CO2を固定化している樹木は、地球の大切な資源のひとつです。樹木をあつかうことの多い住宅では、的確な使い方をしなければ木材資源を絶やし、さらに大気中のCO2を増やしてしまうかもしれません。
例えば40年で育った樹木は、40年以上利用しないといけません。しかし残念ながら、その70%近くは製材としては利用されず、燃料などとして短期間で消費されています。製材されて使われる30%分で40年材を使い切ることを計算すると130年使わなければなりません。
戦後、日本に植林され育てた樹木は60年材になります。また、5寸の材は60年育たなければ取れません。同じように計算をすると、
つまり、地球上の木材資源が枯渇しないように同調させるためには、60年材は200年使わなければならないのです。こうした考えを「資源同調」といいます。
現在、日本の住宅の寿命は30年と言われています。これらのことを勘案すれば、200年住宅は、樹木をあつかう者としての義務といえるでしょう。
古民家から学んだ、200年住宅の5つのポイント
200年をゆうに越える歴史を持つ古民家が世界中に残っています。
木材に200年以上の耐久性があることの証です。こうした古民家に活かされている知恵を学ぶことで、200年住宅実現の5つのポイントが見えてきます。
200年住宅実現の5つのポイント
- 1.現(あらわ)しであること。
- 「五感」(視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚)で家を感じることができます。
- 2.国産材であること。
- 地球環境の観点と同時に耐久性においても優位になります。
- 3.大断面であること。
- 5寸角柱(15cm)・尺梁(15cm×30cm)の構造材を使用します。木材が資産となる大断面の木構造材です。
- 4.乾燥材であること。
- 乾燥によって強度・耐久性が増し、腐りにくくなります。(10%乾燥経験)
- 5.間面のつくりであること。
- 柱と梁のシンプルな「間面」の構造体とすることで、築100年目以降の再生が容易になります。
「10年たてば価値はゼロ」とならない木造住宅
住宅の平均寿命は、イギリス141年、アメリカの104年に対して、日本は30年という短さです。先進国の事例を比べると極端に日本が短くなっています。
それは住宅の構造体が石などの堅牢なものでないという理由からではありません。また気候風土による木材の寿命が影響を及ぼしているのでもありません。
これらの多くが、古いものに価値を見出す習慣と、住宅の価値を評価する制度上の問題などによるものです。私たちは今一度、先人の家づくりの知恵から学ぶ必要があります。「10年たてば価値はゼロ」のままではダメなのです。
HABITAは大断面木構造での200年住宅の実現を目指しています。政府も住宅土地調査会を設け「200年住宅ビジョン」の作成に向けて検討を進めています。わが国でも、ようやく住宅に対する考え方に大きな変化が見られるようになりました。
親から子へ、そして孫へ語り継ぐ家づくり
家は一代限りで使うものではありません。親から子供へ、そして孫に、さらにその子供たちへとつながっていく「家」は、その家族にとってかけがえのない『実家』(habitation)といえるでしょう。
houseよりもhome、homeからhebitation。「HABITA」が目指すものは、築100年目以降の再生を可能にする家作りです。世界の古民家に学ぶ家づくりは、家族の歴史を築くために欠かせない『実家』をお届けすることにほかならないのです。家族の歴史を末永くとどめる「こころの住まい」作りをご提案します。